「日向を悪く言うのはやめて」
やっぱり、好きな人を悪い風に言われるのはいい気分がしない。
「莉奈、あんた……」
潤んだ瞳で私を見つめてくる芽衣。
かと思えば、急に抱きついて泣き出した。
「私が男だったら絶対彼氏になるのにぃ〜」
一応告白?をされたのかな。
なんとも言えない複雑な気持ちで、芽衣を撫でる。
「落ち着いて芽衣、ここ教室」
周りを見ると、数人がこちらをちらちらと見ていた。
「あ、ごめんごめん」
鼻水をすすりながら、私から離れる。
急にびっくりした。
芽衣はたまに暴走するからな…。
二人で小さく笑い合うと、ちょうどその時、教室の扉が開き先生が入って来た。
「先生来ちゃった、席戻るね!」
「だね、また後でね」
芽衣と離れ、やっと席に着く。