「ねぇ奏多さん。私はどうしたら良いのでしょうか?」

「そうですねぇ。蒼志君を超える人に出会える自信があるのならお見合いを続けて良いと思いますが、いっその事蒼志君に告白して心の中をリセットされてはいかがですか?」

「こっ告白って無理です。蒼志だって困るだろうし、何より仕事にも支障が出ます」

そりゃ蒼志に告白して振られてスッキリして気持ちを全部リセットしたいけど、そんな事をしてはこれから顔を合わせ辛くなるし、下手すると柊木家と華月家の関係まで悪くなってしまう。

それに私は今、茶道の稽古と両立し着付師として柊木家の呉服屋で働かせてもらっている。だから私の想いを伝えるわけにはいかないのだ。

「……振られるとは限らないと思いますけど」

「振られますよ。だって蒼志にとって私は恋愛対象外の女ですから」

恋愛対象外……自分で言ってて虚しくなる。蒼志は昔から私には意地悪で優しさのカケラもなく、女性として見られた事がない。

おまけにお互い家系の為に私は婿養子を、蒼志は嫁を迎え入れないといけないというのもあり、柊木家に嫁入り出来ない私は完全に恋愛対象外というわけだ。