どうしよう。変に意識しちゃって奏多さんと何を話していいか分からないよ。

私はドキドキしながら奏多さんの隣にいた。きっと今の私の顔、緊張のせいで変に力入っちゃってる。でも夜だから薄暗くてあまり表情は分からないはず。

沈黙が続く中、人通りの少ない夜の静かな道を歩きながら時折奏多さんの方をチラッと見る。

いつもの和服姿の奏多さんも素敵だけど、私服姿の奏多さんもお洒落でカッコいい。

「どうしました?」

チラ見がバレたのか、奏多さんは私の方を見てニコッと微笑んだ。

「あっいえ、えっと……和服姿じゃないなぁと思いまして」

あぁ、私は何当たり前の事を言ってるんだろう。てんぱり過ぎて恥ずかしい。

「そうですね。桜さんも和服姿じゃないからいつもと雰囲気が違って見えて、実は今緊張してます」

「えっ緊張……しているんですか?」

私は思わず奏多さんの顔をパッと見る。奏多さんの表情からは緊張しているのか分からなかった。

「やっとこっちを見てくれましたね。最近、僕は桜さんに避けられているようでしたので」

奏多さんは立ち止まり、真剣な眼差しでじぃっと私を見る。その奏多さんの視線に吸い込まれるかのように、私は奏多さんから目を逸らせなかった。

「避けてるなんてそんな事」

「そんな事ない……ですか?蒼志君に失恋した後から桜さんは僕との間に距離を置いたような気がします。もしかして僕は桜さんの気に触る事を言ってしまったのかと」

奏多さんは申し訳なさそうな表情で話す。私の態度が奏多さんを悩ませている……ちゃんと誤解を解かなきゃ。