梅雨も終わり、華月家の庭も緑豊かな葉っぱが色付いて爽やかな夏を感じるようになった。
私はいつものように蒼志と呉服屋で仕事をしている。奏多さんとの交際宣言後、蒼志と私の距離感も変わらず今まで通りで、蒼志は時折奏多さんとの話を面白半分に聞いてくる。
そして午後3時を過ぎた頃、私は奥の部屋で着物の手入れをしていると、呉服屋に思いがけない来客が訪れた。
「いらっしゃいませ」
「桜さん居る!?」
蒼志が挨拶した途端にそのお客様は慌てた素振りで私を呼ぶ。何となく聞き覚えのある男性の声……奥にいた私は何事かと顔を出す。
「あなたは確か……光さん?」
「桜の知り合い?」
蒼志は私の方を見る。知り合いっていうか、奏多さんの知り合いの方なんだけど。とりあえず、光さんの元へ移動する。
「あの……私に何か?」
「歩きながら話すから、とりあえず華月家まで案内して」
「えっちょ、ちょっと!?」
蒼志の呆気にとられた表情を横目に、私は光さんに手を取られて強制的に連行された。
外の日差しを浴びながら、足早にぐいぐい歩く。薄物の着物を着ている私にはこのペースで歩くのは辛い。
「ちょっと……待って」
「あっ悪い」
はぁはぁと息を切らしながら声をかけると、ようやく光さんは私の手を離し立ち止まった。
私はいつものように蒼志と呉服屋で仕事をしている。奏多さんとの交際宣言後、蒼志と私の距離感も変わらず今まで通りで、蒼志は時折奏多さんとの話を面白半分に聞いてくる。
そして午後3時を過ぎた頃、私は奥の部屋で着物の手入れをしていると、呉服屋に思いがけない来客が訪れた。
「いらっしゃいませ」
「桜さん居る!?」
蒼志が挨拶した途端にそのお客様は慌てた素振りで私を呼ぶ。何となく聞き覚えのある男性の声……奥にいた私は何事かと顔を出す。
「あなたは確か……光さん?」
「桜の知り合い?」
蒼志は私の方を見る。知り合いっていうか、奏多さんの知り合いの方なんだけど。とりあえず、光さんの元へ移動する。
「あの……私に何か?」
「歩きながら話すから、とりあえず華月家まで案内して」
「えっちょ、ちょっと!?」
蒼志の呆気にとられた表情を横目に、私は光さんに手を取られて強制的に連行された。
外の日差しを浴びながら、足早にぐいぐい歩く。薄物の着物を着ている私にはこのペースで歩くのは辛い。
「ちょっと……待って」
「あっ悪い」
はぁはぁと息を切らしながら声をかけると、ようやく光さんは私の手を離し立ち止まった。