そう言って、男の子たちは走り去っていく。それをぼんやりと見つめた真白は、玄の方を向いた。

「……どうして……?どうして、僕なんかを助けるんですか?」

「……僕と、同じだから……」

「え……?」

真白の言葉に、玄は首を傾げる。しかし、真白はそれ以上何も言わなかったため、玄は「ありがとうございました」と頭を下げた。

「……え」

「僕は、中学2年生の玄と言います」

「……僕は、高校1年生の真白……」

「先輩ですね。僕、良くこの近くをふらふらしてるので見かけたら、また声をかけてくださいね!」

玄は、にこりと笑うと元気よく真白に手を振って走っていく。その玄の様子を、真白は見つめていた。

(玄、僕の姿を見ても気持ち悪いって言わなかったな……どうして?)

そんなことを思いながら、真白は家に向かって歩き始めた。



「先輩、おはようございます!」

あれから数年が経った。玄は真白の姿を見つける度に声をかけるようになり、気が付けば良く遊ぶようになっていた。

「……おはよう」

真白と同じ制服に身を包んだ玄は、真白に向かって笑う。

「……ねぇ、玄……」

真白は、ずっと疑問に思っていたことを聞くことにした。