「あ、あの、どうしてアルバイトしてるか、聞いてもいい?」



蕪村さんは目立つ人ではないけれど、本物のお嬢様の風格をただよわせている。



仕草とか、ちょっとした振る舞いに品がある。



アルバイトなんて必要なさそうなのに……。



すると、蕪村さんが真顔で答える。



「推しがいる生活は、とにかくお金がかかるので」



……推し?



「あー、うちの妹もよく言ってる。百万あっても足りないって」



ひゃ、百万!