爆発したセクシャルマイノリティより愛をこめて

相手は既に僕が恋していることに察しがついていて、僕もそのことに気づいていた。

僕が、「いつ僕の気持ちに気づいたの?」と聞くと

「一回離れて、もう一度近づいてきたとき」

と答えた。

え、早っ!

さすがにそんなに早く気づかれていたとは思わなかったから、驚いたし恥ずかしかった……。

告白した後も、友達関係は変わらず、葛藤は無くならなかった。

それに加えて、性自認についての悩みが加わり、あるとき僕は


爆発した。


高ーのときと同様、夜中に家を飛び出した。

今度はケータイを持たずに飛び出した。 

暗闇の中に光る青信号に引かれるようにして、ただ、早足で。

僕が辿り着いたのは、何度か行ったことのあるカラオケ店だった。

お金も持たず、受け付けもせずに部屋に入り、警察のご厄介になった。

そのときの僕を見た警察の方に言われて、すぐに入院した。

二度目の病気の症状、そのときが急性期だった。
前述したように電気治療をしたため、入院時の記憶も飛び飛びだ。

ただ、そのときに自分が男なのか女なのか悩んでいることが分かるメモがあった。

でも、入院している他の“同性”の人達と入浴することにあまり抵抗を感じていないときがあったことは覚えている。

退院時には、
自分はやはり体と逆の性別ではない
と、思うようになっていた。

成人式の前撮りで着る衣装も、嫌な気持ちがあったが、同時にぬるい覚悟のようなものがあった。

僕は生まれ持った体のこの性別で生きていくんだって……。

でもその覚悟のぬるさが、今も僕を苦しめている。


退院してから前撮りをして、高校にも復学して。

少しの間僕は性別について悩んでいたことを忘れていた。

でも、あるとき書き残していた文章を読んで思い出した。

それを書いたのは、入院するー週間前。高校三年生のときだった。

文章を読んで、ハッとした。

そしてまた性別のことについて悩む日々が始まる……。
色々調べて、日本ではXジェンダーと呼ばれている性別の方達がいることを知った。
 
Xジェンダーとは、心の性別が男性でも女性でもない人が自称するセクシャリティだ。

その中でも主に四つのタイプがある。


・男性と女性の中間に位置する「中性」

・心に男性も女性も存在する「両性」

・人や日によって男性になったり女性になったり性自認が揺れ動く「不定性」

・男性とも女性とも自認せず、また両性でも中間でもなく、男性女性二つの性で揺れ動くこともない「無性」


ざっくり説明するとこんな感じだ。 

僕はその中の無性を自認している。
この結論に辿り着くまでに随分時間がかかった。

でもこれから性自認が変わっていくこともあるかもしれない。

現時点で僕は男性でも女性でもない。

皆が当たり前のように自分の性別で社会的役割を果たしていくことが、僕には出来ない。  
 
自分の性自認は自覚したが、性的指向に関してはクエスチョニングだ。

今はもうあの友人のことを恋愛感情として好きではない。

多分僕は、性別関係なく好きになるパンセクシャルだと思うけど、実際にMtm(体は男性、心は女性)やFtm(体は女性、心は男性)の人を好きになったことはないから分からない。

好きな人がいなくなって、前よりも少し余裕を持てた心はXジェンダーである悩みがしめている。

親にも友達にも担当の先生にもカミングアウトしていないから、一人で抱えるのがしんどくなる。

これは僕個人の考えだけど、カミングアウトすることに相手はなんのメリットも無い。

ただ自分が楽になりたくて言うのは、なにか抵抗がある。

これは打ち明ける勇気を持たない言い訳だ。
思春期に同性を好きになったり、それ以前に性別に違和感を持ったり。

深刻な悩みほど、なかなか人にいいづらいものだ。

だけどあなたには、一人で悩んで病気になる前に、誰かに助けを求めてほしい。

未だに助けを求められてない人がこんなことを言うなんて矛盾してると思うけど。 

全部全部一人で解決しようとしなくてもいいんだよ。

そんなことを、あなたと、過去の自分に伝えたい。


そして、自分の気持ちと向き合うことは自分だけじゃなく、周りの人も大切にすることにも繫がると僕は思っている。  

思い悩んでいる時間は辛い。

しかし自分が自分として生きていくためには必要なことではないだろうか。

僕は僕として生きていくために、これからも自分と向き合っていく。
ここに記すことで、自分の気持ちを整理することが出来ました。
 
今回はセクシャリティのことについて書きたかったので、病気の方はざっくり書きました。  

また機会があれば、入院していたときのことや、恐怖の電気治療についてなんかも書いてみたいです。

では、またどこかでお会いしましょう!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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