剣の才能を認められて、学園に在学中にもかかわらず、王立騎士団に加入した天才である。
 これまではアルフレッドの警護を任されることが多かったが、レイノルドに継承権が繰り上がってからは、第二王子の正式な護衛に任命された。

「王子サマ、そろそろ認めちゃえば? 自分は愛想を尽かされたんだってさ」
「尽かされてない」
「でも、手紙こなくなってんじゃん。信じたくないかもだけど、女の子って風見鶏みたいなものだよ。風向きが悪くなったら別な方に目移りもするって。切り替えて次の子に行こうよ。クラブに行けば誰かしら捕まるし、なんならオレが紹介するけど?」
「いらない」

 ヘンリーは剣の腕が立つ。頭もそれなりにキレる。騎士としてはかなり優秀なのだが、女好きが最大の欠点だった。

 孤立していたレイノルドを町へ誘い、酒場や裏カジノでの遊び方を教えたのは彼である。当人は、第二王子の悪友を気取っている。