しっかりと布陣を固めているのだから、たかが王族の結婚でタスティリヤ王国が滅ぶはずがないのだ。
もちろん天災は防ぎようがないし、王妃が贅沢三昧して国民を苦しめ、革命を起こされることもないとは言えないが……。
(あんたはそういうタイプじゃないだろ。もともとが高貴な生まれで富への憧れはないし、権力にはさらに興味がない。唯一の願いが『恋をしたい』なんて可愛い人が、どうやって国を滅ぼすんだ)
マリアは、なにを一人で思い悩んでいるのだろうか。
表情を曇らせていたら、部屋のドアが開いた。
「あれ? まだ〝高嶺の花〟からの連絡待ちしてんの?」
「ヘンリー……」
入ってきたのは近衛騎士のヘンリーだった。
首元にかかる長さの茶髪と、右目にある泣きぼくろがチャラチャラした印象だが、これでも名門トラデス子爵家の子息だ。
もちろん天災は防ぎようがないし、王妃が贅沢三昧して国民を苦しめ、革命を起こされることもないとは言えないが……。
(あんたはそういうタイプじゃないだろ。もともとが高貴な生まれで富への憧れはないし、権力にはさらに興味がない。唯一の願いが『恋をしたい』なんて可愛い人が、どうやって国を滅ぼすんだ)
マリアは、なにを一人で思い悩んでいるのだろうか。
表情を曇らせていたら、部屋のドアが開いた。
「あれ? まだ〝高嶺の花〟からの連絡待ちしてんの?」
「ヘンリー……」
入ってきたのは近衛騎士のヘンリーだった。
首元にかかる長さの茶髪と、右目にある泣きぼくろがチャラチャラした印象だが、これでも名門トラデス子爵家の子息だ。