レイノルドは、預言はあくまで預言でしかないと前置きして、
「どんな預言をされようと結婚を止める気はない。ジステッド公爵令嬢が妃にならないのなら、王位継承権を放棄する」とはっきり伝えた。

 すると、国王は何も言えなくなった。
 レイノルドが王にならなければ、愚かな双子の兄アルフレッドが玉座につく。そうなれば、天災や飢饉、他国の侵略にさらされなくても、国が傾いてしまう。

 ひとまず、結婚については保留扱いとなった。
 舌打ちするネリネの横で、レイのルドはほっとしたのだが。

(あんた、預言されたことが本当になるとでも思ってんのか?)

 レイノルドはそうは思わない。
 タスティリヤ王国は豊かな国だ。王都だけでなく地方も栄えていて、食料の備蓄が十分にある。王家の方針で、優秀な側近の教育に力を入れているため、内政や外交も上手く行っている。