マリアからの手紙を待ちわびること、もう四日目。
 文通のように続いていたやり取りは、預言があった翌日から途絶えている。

(あんた、俺と会った日は必ずその日のうちに手紙を書いて送ってくれただろ。なんで今回はくれないんだ?)

 原因は何となく分かっていた。聖女ネリネによる預言だ。
 結婚すれば国が滅ぶと言われて、マリアはショックを受けていた。

 まずいと思ったレイノルドは、すぐさまネリネを連れて国王に対面した。
 噂として耳に入れるより、渦中の第二王子から申し入れる方が心証がいいと判断したのだ。

 幼い頃、宮殿に連れてこられたネリネは、双子の王子にとっては妹のような存在だ。国王が甘やかしたせいで我がままな性格に育ったが、今回のように、特定の人物を名指しして批判するような預言をもたらすのは初めてだった。