(真正面から見るべきではなかったわ……)

 マリアは後悔した。
 だって、そのせいで気づいてしまった。

 クレロが、自分に恋をしていることに。

(わたくしの恋の相手はレイノルド様。今さら他の誰かと恋をするなんて、あってはならないはず、なのに)

 胸にわだかまっていたモヤモヤが膨らんで、不安の色を濃くしていく。

 破滅の預言は、マリアに嫉妬した聖女ネリネの当てこすりのはずだ。

 でも、もしも本物だったら?

(わたくしの運命の相手が、レイノルド様ではない――?)