駆け出す侍女を制止しようとしたレイノルドだが、東屋を出たところでネリネに飛びつかれた。

「レイノルド様! そんな女と一緒にいたらいけないわ。聖女であるあたしが守ってあげる。その悪女からね!」

 レイノルドに腕を回して不敵に笑うネリネを、マリアは冷ややかな瞳で見返す。

(そういうことね)

 これは預言ではない。マリアへの宣戦布告だ。
 かくして、聖女と悪女の闘いの火蓋は、切って落とされたのだった。