(かなりお疲れのようね)

 無能の烙印を押された第二王子から、いきなり王位継承権第一位へと格上げされたレイノルドは、おざなりになっていた帝王学や政治学を急ピッチで叩き込まれている。
 マリアが言えば待ち合わせデートをしてくれるし、手紙にはすぐに返事を書いてくれるが、疲れがたまっているのは目に見えて明らかだった。

(癒やして差し上げたいわ。恋人って、こういうときはどうするのかしら?)

 甘いケーキを用意するか、疲労回復させる薬草を手配するか……。
 マリアが思い付くものは、だいたい側近や侍従がやっているだろうことばかり。

 自分にしかできない方法はないかと悩んでいたら、側近がパタンと指示書を閉じた。

「会場設営に関しての説明はここまでです。何かご質問はございますか?」
「え? ええっと……」