さりげなく、けれど美しく。
 まるで、周りに恋人同士だと見せつけるように。

(まるで夢のなかにいるみたいだわ)

 待ち合わせて、手をつないで歩き、ペアグッズを彼から買ってもらう。
 こんな楽しいデート、第一王子の婚約者だったときにはできなかった。

 夢にまで見た恋を叶えてくれるのは、長らく視界から外れていた第二王子だなんて、少し前のマリアに言っても信じてもらえないだろう。

(恋って不思議なものね)

 そして、とても素敵なものだと、マリアは隣を歩くレイノルドを見上げながら思った。