「すぐにお出しします。こちらもペアなんですよ。女性がブローチ、男性がネクタイピンで、どんな場面でも付けやすいアイテムになっておりますの」

 ケースから出された二つのスズランは、紺色の別珍の上に並べられる。

 レイノルドは、ブローチの方を手に取ってマリアのドレスにつけた。
 淡い水色に、銀細工は良く似合った。

「似合ってる。服にも、あんたにも。こういうの贈られたら迷惑か?」
「まさか。レイノルド様からいただいたものなら、何だって嬉しいですわ」
「なら決まりだ。店主、このブローチとネクタイピンをもらう。このまま付けていっても構わないか」
「もちろんでございます」

 マリアとレイノルドは、おそろいのアクセサリーを付けて店を出た。
 ささやかなダイヤが、日の光をキラリと反射する。