「かわいい……」

 うっとりするマリアに、レイノルドは見蕩れた。

(あんたも、とか言ったら、また動揺しそうだな)

 マリアは、かわいいものに触れているとき、特にかわいい表情を見せてくれる。高嶺の花にたとえられているが、本来は可憐な花が似合う少女なのだ。

「いらっしゃいませ。こちらにペアの宝石をご用意しておりますよ」

 話しかけてきた女店主は、ガラスケースの鍵を開けて、主張の強い大ぶりなルビーとサファイヤが配置されたペアリングを見せてくれた。

「お嬢様の華やかさには、大粒の宝石でないと見劣りします。こちら、少し値は張りますが良いお品ですよ。せっかくですから、ご試着だけでもいかがです?」
「いえ、あの、わたくしは……」