「あんたが、とびきりかわいかったから、目を奪われた」
「かかか、かわいい?」

 マリアの頬がカーッと熱を持った。

 その言葉を聞きたくて、一生懸命にお洒落してきた。
 褒められて嬉しいが、甘えベタなマリアの心には天邪鬼が住んでいて、素直によろこびを表現させてくれない。

「それはそれは! お褒めいただき感謝申し上げますわ!」

 照れる気持ちを隠そうとするあまり、顎をクンと上げて目を細め、口角は下げるというキツい表情になってしまった。
 可愛げのないお礼を、レイノルドはふっと笑い飛ばす。

「堅苦しいな……。まあ、いい。今日一日かけて、あんたをとろけさせる」
「とろけさせるって何ですの。わたくしチーズではありませんことよ」
「たとえ話が下手だな、あんた」