「う、うん……私は大丈夫。それより、ごめんね」

「いや、俺の方こそ」


立ち上がり、頬を少し紅く染めたはるかが言うと、冬哉は本当に申し訳なさそうな顔をして、首を横に振った。


その光景を見た瞬間、胸の奥がズキッと傷んだ。


はじめて見た。

あたし以外の、他の女の子にこんな顔をする冬哉……はじめて見た。


そして、ふたりの姿に、どうしてこんな感情になるのか分からない。

胸の奥が苦しくて、さっき冬哉の手に触れた時とは違う意味で……泣きそうになって、あたしは目を逸らした。

何も考えず、また“あたし”を助けに来てくれたと思ったけれど……違う。

冬哉が助けに来た相手は、あたしじゃなくて、はるかなんだ──。