「でもさ、相手は人間なんだよね? そんなに簡単に彼氏になんてなってくれるの?」


時間単位とか、日単位で彼氏のフリをしてくれるのならわかる。


だけどさっきから琴葉が言っているのは、本当の彼氏の話なのだ。


「それはね、男の子は必ず1回デートをしてくれるんだよ。それからお互いにいいなって思ったらメッセージ交換をしてくれるんだよ。そうすればまたデートしてくれて、うまくいけば付き合うことができるんだよ」


「琴葉はドライブスルー彼氏とメッセージ交換をしたってこと?」


聞くと、琴葉はまた頬を赤く染めてうなずいた。


「そんなところで彼氏作って大丈夫なの? なんか怪しくない?」


「そんなことないよ。行ってみると案外普通なんだから」


琴葉はなんてことのないように言う。


そういうものなんだろうか?


「メッセージ交換をしてもらえなかったらどうなるの?」


「それは振られたって意味だよ。同じ男の子をドライブスルー彼氏で見かけても、もう出てきてくれないかもしれない」


それは手厳しいな。


相手がクラスメートとかなら、1度告白に失敗したって2度目、3度目のチャンスがあるかもしれない。


だけどドライブスルー彼氏ではチャンスは1度きりということだ。