「ちょっと、いきなり何?」


琴葉について廊下へ出て、あたしは聞く。


ひと気のない場所まで移動してきた琴葉はようやく足を止めた。


「実はね、ドライブスルー彼氏を使ったの」


こそっと耳打ちされた。


あたしは何度も瞬きを繰り返す。


「ドライブスルー彼氏? なにそれ?」


ドライブスルーと言えば持ち帰りの食べ物がすぐに思い浮かぶ。


それ以外にも最近は増えてきたみたいだけれど、ドライブスルー彼氏という言葉は始めて聞いた。


「ドライブスルー彼氏はね、街の外れにある小屋が使われてるの。車で小屋の周りをグルッっと一周して、帰るころには男の子を連れてるってわけ」


自信満々で説明する琴葉だが、聞けば聞くほど意味がわからなくなっていく。


「なにそれ?」


「小屋の外にはタッチパネルがあって、そこに男の子たちの顔写真と簡単なプロフィールが書かれているの。女の子はその中から理想的な男の子を選ぶだけ。もちろん、徒歩でも行くことができるよ」


つまり、本当に彼氏をドライブスルーのようにして購入することができる。


ということだろうか。