「あたしもする!」


光が真里菜を押しのけるようにして美緒の前に座った。


そして願いを口にする、その寸前。


「ダメ!!」


咲が大きな声で叫んで光を止めていた。


光は目を見張って「どうして?」と咲を見つめている。


「絶対様への願いは1日1回だけなんだよ。そうしないと、もう願いを聞いてもらえなくなる」


咲は早口に説明をした。


光は瞬きをして咲を見る。


「そんなの聞いてないよ?」


「でも、都市伝説のサイトにはそう書いてある」


咲はそう言ってスマホを操作し、光に画面を見せた。


きっと、絶対様について書かれているサイトを表示させたのだろう。


それを見た光の表情が曇った。


「本当だ……」


「ここに書かれていることが全部本当のことかどうかはわからない。だけど、忠実に再現して絶対様ができあがったんだから、信用していいと思う」


「うん、そうだね」


光は素直に立ち上がった。


それを見てホッとしている咲は、これから何度でも絶対様に願いを叶えてもらう気でいるんだろう。


「これで真里菜の願いは叶ったと思う。行くよ」


咲に言われて、あたしたちは廃墟を後にしたのだった。