お茶会では、スザンナが用意したお茶と共に、様々なお菓子や軽食も振る舞われる。その後も世間話で盛り上がっていると、オルコット家の侍女が新たに菓子の載ったお皿を運んできた。

「こちらは本日皆様からいただいたものよ。せっかくだから、是非お召し上がりになってね」

 スザンナがテーブルの中央に置かれたお皿を指して説明する。

 そこには沢山の菓子が載っていた。
 パウンドケーキやマドレーヌのような焼き菓子から、ドライフルーツ、マシュマロもあった。もちろん、ミレイナが持って来たお菓子も載っている。

「まあ、美味しそうだわ」

 一緒にテーブルを囲んでいたご令嬢のひとりが目を輝かせると、早速その菓子を皿に盛り始める。

「本当ね。どれも美味しそう」

 別のご令嬢も興味津々な様子で菓子を眺め、いくつかを皿に移していた。

(どれにしようかしら。全部美味しそうだから迷っちゃう)

 皿に乗った食べ物を物色するなどあまり行儀として褒められることではない。しかし、見慣れないお菓子も多く、ついつい目移りしてしまう。

「これ、わたくしがお持ちしたものなのでミレイナ様も是非。うちのシェフが焼いたの」

 斜め前に座っていたマリベルが焼き菓子のひとつを指さしてミレイナに話しかける。それは、ナッツの入ったフィナンシェのように見えた。