お茶会には全部で六人のご令嬢が参加していた。
 スザンナを含めて半分は既に結婚している方で、ミレイナを含む独身の三人は全員が王宮でメイドとして働いている。
 お茶会の話題は、若い女性にありがちな恋愛話が多かった。

「わたくしも、スザンナ様のように良縁があるといいのですけど」

 ミレイナの隣に座る、独身のメイドのカイヤがぼやく。カイヤは子爵家の令嬢で、多くの独身令嬢と同じく素敵な出会いを求めて王宮に出仕したようだ。

「本当に大恋愛でしたものね」

 他のご令嬢も相づちを打ち、スザンナは「そんなことは……」と謙遜していた。

(スザンナ様って大恋愛だったのかしら?)

 ジェラール付きの侍女だったスザンナとジェラールの側近であるウォルトが結婚したという事実以外、ミレイナはふたりの馴れそめをよく知らない。
 けれど他のご令嬢の会話を聞き、スザンナのことをウォルトが気に入って、口説きに口説き落としたらしいということは理解した。

「スザンナは、ウォルト様とのご結婚について最初はあまり乗り気でなかったの? 口説かれても何度もお断りしていたって……」

 不思議に思って、ミレイナは小声で隣にいるスザンナに尋ねる。