その様子を見て、喜んでもらえているようでよかったとミレイナは胸を撫で下ろす。

「さすがはセシリア様ですわね。手土産を選ぶセンスも素晴らしいですわ」

 ふたりのやり取りを見ていたマリベルが笑顔で口を挟む。

(ん?)

 なんとなく、〝セシリア〟の部分を強調されたような気がしたけれど気のせいだろうか。

 マリベルはそんなミレイナの気など知らぬ様子で、スザンナに小さなバスケットを差し出した。

「わたくしからはこれを。屋敷のシェフが今朝焼き上げましたの」
「まあ、どおりでいい匂いがすると思ったの。美味しそう。ありがとうございます。では、いただいたものはお茶会で皆様にもお出ししますね」

 バスケットの中身を見て、スザンナは表情を綻ばせる。そして、それらを使用人に手渡すと、ミレイナとマリベルのほうを振り返った。

「さあ、会場にご案内します」

    ◇ ◇ ◇