「まあ、やってみろ」
と言うので、開けてみると、主人公の名前は狭間汐音に最初からなっていて。

 社長のキャラが加倉井求になっていた。

「求さん」
と画面の中の汐音が呼んでいる。

「いやこれ、無理っ。
 これ無理ですっ。

 だって、主人公も結構、甘々なセリフ吐きますよねっ、これっ」

 私が加倉井さんに言ってるみたいになるじゃないですかっ、と汐音は叫んだ。

 だが、求はスマホの画面を軽く叩いて言ってくる。

「お前が反射的に俺を求さんと呼ぶように作ってもらったんだ。
 求さんを刷り込むんだ、汐音。

 求でもいいぞ」

 いや、なんの特訓ですか……。