ワインのつまみに甘いものが欲しいという話になり、ホットケーキを焼いていたのだ。

 もっとこう、素敵な焼き菓子とかをサッと作れるようになりたいのだが。

 今の腕では無理なので、なんのアレンジもない、ただのホットケーキだった。

「あ、よかったです。
 そこまで焦げてなさそうです」

 ホッとしながら、なんとかひっくり返す。

「いや~、実はさっき、一回様子見ようとして、蓋落としちゃったんですよね~。
 そしたら、ホットケーキに刺さっちゃって。
 危うく、真っ二つでしたよ~」
と汐音が笑うと、求は、

「……聞いてる」
と言う。

 ……いや、そこで聞いてるっておかしいですよね?

 誰に、なにを聞いたんですか……と汐音は今度は焦がすまいとフライパンを見張りながら思っていた。