渡真利からの連絡はやはり、仕事の話だった。
ただ最後に追伸が入っていた。
「加倉井が、お前は永遠に料理ができないかもしれないが。
きっと大丈夫だと言っていたぞ」
……それ、なにが大丈夫なんですか?
っていうか、一体、なんの話なんですか、渡真利さん。
突然すぎてついていけない、と汐音はスマホを手に固まっていた。
そもそも何故、いきなり、私は未来永劫、料理ができないことに……
なにかの呪いっ!?
実は渡真利はこのメッセージを壮絶な覚悟とともに打っていた。
汐音が永遠に料理ができなくとも、自分が料理を覚えるから大丈夫、と加倉井が言っていたとか。
そんなことを教えては、二人はラブラブになってしまうかもしれん……。
だが、知っていて、黙っているのも卑怯っ、と思い、渡真利は心を殺して、汐音にそのことを教えようとしたのだ。
だが、教えたくない気持ちが何処かにあったせいか、ふんわりとした表現になってしまい、結果として、汐音には、なにも伝わっていなかった。