むち君の声を排除したいのに、予想外の温かい声は私の耳から入り込んで、心の奥にまで浸透してしまう。



「俺はこれからも、ジョーの分まで兄代わりを続けてやる」


 ……やめてよ。


「何かあったら、俺が慰めてやるから」


 ……優しい言葉、やめてってば!



「望愛がずっと秘めてきた想い、好きな奴にぶつけてこい」




 うぅぅぅぅぅ……

 私、もうダメだ……



 お兄ちゃんが亡くなってから『一生、恋をしない』って、強がってきたけれど。

 その強がり、もう限界。



 だって本当は、子供の頃から雨ちゃんが好きで。

 「そのままでいい、変わらなくていいよ」と頭をなでてくれる雨ちゃんのことが、今でも大好きで大好きで。
 

 キャンディーみたいに甘すぎる雨ちゃんから、優しい言葉をプレゼントしてほしい。

 欲張りな私の本能が、本気で願っちゃうんだから。