「これって……?」
「中学の時、ジョーに借りっぱなしだった英語のノート。昨日、俺の机の中から見つかってさ」
むち君、これを私に渡すために外で待っていてくれたんだ。
「ありがとう、お兄ちゃんの部屋に返しておくね」
「中を見たんだけど、そのノートにもあったぞ」
「何が?」
「ジョーからのメッセージ」
「ほんと?」
お兄ちゃん、英語のノートにも星羅さんへのメッセージを残していたんだ。
「私いますぐ、星羅さんの家に届けに行ってるね」
そうすればきっと喜んでくれる。
「望愛、待て!」
フェンスの上を通したむち君の手に私は腕をつかまれ、走り出そうとした足が止まってしまった。