「っつ………」


 姉さんから漏れた声にならない吐息。

 ひっきりなしに流れる姉さんの涙が落ち、ノートを濡らしていく。



 表紙の文字とは明らかに違う、心が込められた丁寧な文字。

 姉さんは愛おしそうに指でなぞった。



【俺の夢 星羅と二人だけでケーキ屋を開くこと】





【俺たちの子供となら、一緒にやってもいいけど】

 

 でもその一文には、上から二重線がひかれていて



【やっぱり星羅と二人だけがいい】


 最後にハートマークで締めくくられている。
 



 この落書きはプロポーズ?

 姉さん、譲さんに愛されすぎでしょ?