過去の苦しい思い出に、心が押しつぶされそうになっていると


「準備できた?」


 姉さんが、勢いよく部屋に入ってきた。




「大地、早く望愛ちゃんのベルトをほどいて。譲君に会いに行くんだから」



 なにもかも……


 俺……


 限界かも……






「姉さん……もうやめよ……」


「は?」


「譲さんの死は望愛ちゃんのせいじゃないって、姉さんはわかってるでしょ?」


「何……言っ…ってんの?」


「あれは……俺たちが……」



 俺の声を遮るように姉さんは泣き声を張り上げた。


「チガッ……あれは……私たちのせいじゃ無いんだから!」