左頬がジンジン痛む。

 大地君の怒鳴り声に、耳の奥までもが痛い。

 
 でも……


 目の前の大地君もなぜか苦しそう。


 涙を堪える様に、ぎゅーっと唇を噛みしめている。




 あっ、そっか。

 私がお兄ちゃんを家から追い出したことが、幸せだった大地君と星羅さんの人生を狂わせてしまったんだ。


 大地君も辛いんだね。

 お兄ちゃんのこと大好きなんだね。

 


 苦しそうに顔を歪ませる大地君を見るのがつらくなって、私はついに抵抗をやめた。



「大地君……ごめんね……」
 


 自分の罪の重さを考えたら涙が止まらない。



「いいよ、私の写真を撮っても」


「えっ?」


「お兄ちゃんに喜んでもらえるように、頑張って笑うから」



 私はやっと写真を撮られることを受け入れ、涙でグシャグシャな顔に無理やり笑顔を貼り付けた。