「入学式の時に私たちが出会ったのは、偶然じゃなかったの?」


「望愛ちゃんに声かけるタイミングを、俺が狙ってた」


 狙ってた?


「スマホをスライディングキャッチしたのは偶然だよ。望愛ちゃんに借りができてラッキーだったけどね」


「私に好きって言ってくれたのも……」


「ウソに決まってるじゃん」


「えっ……」


「そんなに驚くことかなぁ? 俺の告白を断り続けたくせに」


 でも……


「なんで私に近づいたの? 演技までして、なんで私に優しくしてくれたの?」


「望愛ちゃん、まだわからない?」



 わからないよ。

 制服汚してまで、私のスマホを守ってくれて。

 お兄ちゃん代わりとして、慰めてくれて。


「それはね、姉さんと二人で望愛ちゃんに復讐するため」



 私に……復讐……??