膨らむかすかな期待。

 ドアが開くのをじっと見つめる私。


 でも……


 弟君と目が合った瞬間、私の体に力が入らなくなって。

 「あっ……」

 ベッドフレームを握っていた手を、放してしまった。

 星羅さんに引っ張られた勢いが強すぎて、二人で倒れ込んでしまう。


 床にお腹をへばりつけた私の前に、弟君がしゃがみ込んだ。



「望愛ちゃん、譲さんのお墓に一緒に行こう!」


「えっ? なっ、なんで…… 大地くん?」


「俺を譲さんに紹介してくれる約束、ちゃんと守ってね」



 大地君は太陽のようなキラキラ笑顔を浮かべている。

 でも私には、悪を垂らしたような微笑みに思えてしまうから、怖くてたまらない。



「弟って……」


星羅(せいら)は俺の姉さん」


「だってお兄ちゃんが、星羅さんの弟は『りく』だって……」


「譲さんって優しいでしょ? 背が低いのに『(だい)』って呼ばれるのが嫌って話したら、大地つながりで『陸』って呼んでくれるようになったんだ」