「この格好のまま家の外に出るのは、許してください!」
「望愛ちゃんに拒否権がないって言ってるでしょ!」
「離してく」
「いいから外に行くよ!」
星羅さんに腕を引っ張られる、私は、ベッドのパイプフレームを掴んで抵抗して。
「なんで私の言うことが聞けないの!」
それでも私を引っ張り続ける星羅さんに、誰かが部屋の外から声をかけた。
「姉さん、入るよ」
低音で跳ねるランラン声。
姉さんと呼んだってことは……弟くん?
お兄ちゃんがよく話していた。
星羅さんには『りく』って名前の優しい弟がいるって。
弟君に助けてもらえるかもしれない!!