さっきお店の前で私を抱きしめて


『お葬式の時は顔を叩いちゃってごめんね』

『望愛ちゃんのせいじゃないよ』

 って言ってくれましたよね?



 あれは演技?

 今もまだ、私を恨み続けているんですか?




「大丈夫だよ望愛ちゃん。その格好のまま、譲君のお墓の前で土下座してもらうだけだから」



 星羅さんは、ピクリとも笑わない。



「コスプレしなくてごめんなさい!って、地面に頭をこすりつけて譲君に謝ってね」


 ピクリとも笑わぬまま、ゾンビのような低い声を発し続けている。



「譲君はもう二度とこの世に帰れないんだよ。人殺しの罪がそれで消えるなら、望愛ちゃんも嬉しいでしょ?」



 私の目の前にいるのは、優しい星羅さんじゃない。

 さらさらな髪を振り乱し、私の腕をつかみ「早く行くよ!」と、私を部屋の外に引きづり出そうとしている、いわば鬼。