兄が友達と話しながら歩くので、私はすごく退屈だった。それに気づいたのか兄の友達の宏貴くんが、私に話しかけてくれた。
「七海の妹?名前なんて言うの?」
「咲梨…。」
今日初めて会った人な上に年上だし、私はとても緊張していた。
「咲梨ちゃんって言うのか。可愛い名前だね。
お兄ちゃんと仲いいの?」
「んー、悪いかなぁ。
いっぱい喧嘩するよ。」
「そうなの?おーいお兄ちゃん、妹ちゃんに優しくしてやれよー。」
「いや、咲梨が悪いんだし。」
「違う!さり悪くないし!お兄ちゃんが悪いんだし!」
「俺悪くないしー。」
「てか七海、また血出てきてる。綺麗ではないけどこれ当てとけ。」
宏貴くんは自分のしていたネックウォーマーを、兄の傷口にあてる。
「いいって。汚れるし。別に痛くないし。」
そう言って兄は宏貴くんにネックウォーマーを返した。
何度かそのやり取りをして、宏貴くんが折れる。
「別に汚れてもいいし当てとけばいいのに。ね?咲梨ちゃん。」
「うん。でもお兄ちゃんバカだから仕方ない。」
「ははっ、バカって言われてる。」
「うるせー。バカは咲梨だろ。」