「おーいバカ、持ってきたよ」


なんて言いながら遠慮なくカーテンを開ける。


白いシーツをぐるぐると体に巻きつけてくの字型のようなかたちで眠っているカッコよくないカッコつけの姿があった。


出会ったころからこの眠り方。ようするにガキンチョのまま。

みんながキャーキャー騒ぐようなカッコいいやつじゃない。この格好なんてイモムシみたいだよ。


「人に頼んでおいてなんなの」


さっきメールしてきたくせに寝息を立てている。もう放課後になるのに気の利かないやつだな。

バシバシ。叩いてみる。ふとんを剥いでみる。おでこに触って、もう一度ふとんをかけた。


「…熱あるじゃん」


寝てればかわいいのに、口を開けば生意気。

こどものころと変わらないのに、バイクやらサーフィンやら身長やらなんやら、仮の姿がモテはじめてチョーシにのってる。

うんざり。



「………とーか………」



低い声。目は固く閉じらている。夕焼けに照らされた顔は体調がわるいことがわかる色をしている。その肌にまつ毛の影が落ちる。



ねごとで、あたしの名前を、つぶやいた。


ぎしり、と手をついた先で古びたベッドが軋む音がする。

かすかに息がかかる。


強がる、あたしの幼なじみ。

苛々して反発する、あたし自身。