そう口に出すと姫春はくすくす笑ってくれてとっても可愛いことを全国民に報告したいです。


「なにそれ。とーかちゃんは成くんたちがいないと淋しくてうさぎみたいにしんじゃうと思うけどなあ」


あたしの今までのどの話を聞いたらそんな考えに行きつくんだ?びっくりする。姫春とは時々同じ世界線にはいないんじゃないかと思うくらいだ。


「だってアイツ、せっかくあたしが可愛い格好してあげても感想ひとつもないんだよ。気の遣えないヤツだよねー。モテたって根本的なところがダメなんだよ」

「じゃあとーかちゃんは成くんがどんな格好してたのかちゃんと見た?成くんのことだからおしゃれだったんじゃないかな」


そう聞かれてはっとする。


たしかにアイツは咲乃ママ監修なので普段からきちんとした格好をしている。

修学旅行でも「成くんの私服やば~!」「一緒にSNS載りたい」「となりにいるだけで映えるよね」なんて言われていて写真もしっかり一緒に撮っていたことも知ってる。ちやほやされて調子にのってた。



だけどあの遊園地で…ぜんぜん思い出せない。


「なんか黒いのが視界の片隅にちょろちょろいたような気もするんだけど…」

「ほらね。きっと成くんだってとーかちゃんと同じでいっぱいいっぱいだったんだよ」


やっぱり違う世界線にいると思う…。

姫春はいつも前向きに話してくれて、あたしじゃ到底浮かばない意見や考えに、けっこう救われてるんだよ。