県外に行ったらそうは帰ってこないだろうし、帰省するしないをコイツに連絡することもないし、連絡がくることもないだろうから、乗る機会だってほぼ無いに等しいのに、コイツ、本当にバカなんだな。


今までだってそんなに乗ったことなかったし、コイツが、急にデートとかサーフィンとか連れてくようになったから乗りにくさに気づいただけなんだけど。

バカって可哀想だな…。



「だからとーかも可愛がれよ」


命令口調も、今はちょっと情けをかけてあげたくなる。


「ジョンゴ…よろしく」

「いやジョンゴってなんだよ。プジョーのジャンゴだってば」

「だからジョンゴでいいでしょ」

「え、名付けたの?とーかってそういう可愛いことできんだな」


毎度一言余計すぎるよね。

でもまあ、今日はゆるしてあげてもいいかな。


ジョンゴに乗る機会、あとどれくらいしかないんだろう。

そんなことをぼんやり思いながら、けんかしないように腹立つ発言をがんばってスルーしながら登校した。


その日のお昼ごはんは姫春とふたりで中庭で食べることにした。いろいろと、積る話があたしたちにはある。


梅雨も過ぎてだいぶ夏に近づいてきたから外で食べるのもぜんぜん平気だなって。

むしろ心地よくて、のんびりこのまま姫春とふたりだけの世界になっちゃえばいいのにって思う。