志望校を本格的に切り替えて、勉強方法も改めて対策を練るようになった。

県外なんて反対するかと思ったけどママやパパはA大に行くって言ったらなぜかほっとした顔をしていた。もしかしてなんだかんだ言ってあたしがひとり立ちできるか心配だったんじゃないかな。


そんな、ある日のこと。



「フラれちゃったよー」


成咲と帰っていると久しぶりの樹良くんに呼びとめられ、近くの公園で話を聞くことになったんだけど─── 知らぬ間にフラれてしまったらしい。


「え!」

「つい昨日の話です」

「昨日って日曜なのに」

「デートに誘ったら、来てくれたけど、ごめんなさいって」


そうだったんだ。今日家に帰ったら電話したいって言われたけどこのことかな。

姫春、やけに元気だなって思ったんだけど空元気だったのかも。


傷心中の友達の背中をぽん、とさすってあげる。泣いてないけど。むしろ、今まで通りの完璧な笑顔をしているけど。


「俺ねー、初恋だったんだよね」

「え、そうなの?モテそうなのに!」

「いやモテるし、付き合ったことはたくさんあるけど」


モテるし付き合ったことあるんかーい。どうせ絵に描いたようなチャラチャラ男子だったんだな。

そんな彼を射止めて、それでいて振っちゃうあの可愛い子ちゃんのすごさを実感する。