そういえばクラスの子とそういう話したなあ。子供の頃のことなんてなにひとつカウントには入らないけどさ。
「いやそんなんと同じにすんなよ」
「同じ…とは思ってないけど。こわがるとかは、ないよ」
「え、」
「成咲だし、こわくないよ」
ふつうに、なんてことないって思う。これがほかの人だったらちょっと違うんだろうなあとも。
ボタンを留め終わって立ち上がろうとしたら手首を掴まれた。
最近なんか、こういう時、へんなことが起きてる気がする…と、後ろに身を引こうとしたら引き寄せられる。
「風邪移したら嫌だから何もしねーけど」
─── 近い。
「姫春ちゃんからもらったっつうその香水、おれの好みで、本当はずっと傍に置いておきたいんだよね」
「っ、じゃ、あ、分けてあげよう、か」
距離が、近い。
成咲の手が熱い。
ちゃんと安静にしてほしいのに、このままでいたいとも思う。
「そういうことじゃねーよ」
じゃあどういうことなの。
最近、ぜんぜんわからないことばかりする。
その度に考えるんだよ。成咲はあたしのこときらいなのに、どうして、守ろうとしたり、キスしたり、そのほかもろもろ!してくるのって。
「成咲…アンタ最近っ……」
ぐう。
いや、ぐうって。