そう言ってタオルも渡してあげる。用意周到。こういうの、コイツが病弱だから慣れた。
「頭動かねーしだるいから着替えさせて」
ちょっと人が優しくしてあげてるからって調子にのりすぎじゃない?
「それくらい自分でやって」
「だよな」
と諦めながら、ちんたらちんたらスウェットを脱いで、近くにあった前ボタンのパジャマに着替えはじめる。
「いや待て。中のシャツも替えなきゃ意味ないでしょ」
「あー…」
「引き出し何番目?」
「に」
治ったら幼児化してた話でからかってやる。
そう思いながら長袖のシャツを渡すとタンクトップを渡される。なんで風邪の時に薄着してるんだよ、バカか。
「ねえボタン掛け間違えてる」
「は、めんどくせー…」
「ほら、もう貸して」
仕方ないなあ、と、近づいて直してあげる。
ひとりじゃ何もできないくせにあたしを守りたがってるなんて、なんだかなあ。
「…オマエさ、男とベッドのってもなんとも思わないわけ?」
何言ってんだコイツ。
「病人じゃあね」
寝てる時にあんなことしておいてどの口がって言われそうだからあまり言わないけど、病人を警戒するほどじゃない。
それに、成咲だし。こういうこと、今までなかったわけじゃない。
「さっき裸見てもなんともねえって顔だったし」
なんでそんな不服そうな顔してんの。
「アンタの裸なんてプールとか騎馬戦とかで見てるし……子供の頃は、一緒に風呂入ったりしたでしょ。べつにどうってことないもん」