「ひんぱんに移動するわけでもないし、わざわざ客車を買う必要はないと思うわ。だけど、わたしにも専属の護衛がいることは示したいわね。手を出したら怖い目にあうって分かれば、暗殺される危険は減りそう。お兄様の護衛に第一聖騎士団がいるように、私もそういうのがあればいいな……」

 つぶやくと、ノアの耳がピクリと動いた。

「つまり、ルルーティカ様専属の騎士団ですね」
「そうとも言えるわね」
「作りましょう。私とアンジェラを団員として。ルルーティカ様のために存在し、ルルーティカ様を崇敬し、ルルーティカ様を溺愛するためだけの『ルルーティカ王女最愛騎士団』を」
「はあ? なんだそのネーミング。しかも、たった二人で騎士団かよ?」

 顔をしかめるアンジェラに、ノアは「前例では何名でも問題ありません」と答えて、自分の分のユニコケーキをルルの前に移動させた。

「聖王が替われば、聖騎士団の構成も変わります。それまでの護衛が、戴冠に合わせて団長などの責任ある立場につくのが習わしです」