「彼らは聖教国フィロソフィーの守り神みたいなものだもの。枢機卿団はあまり重要視していないけれど、王族は昔から大切にしているの。お兄様がつくった『保護法案』からも分かるはずよ」
「枢機卿団が反発していた、一角獣を守る新法ですね」

 枢機卿団は、各地の有力な教会を治める司教たちで構成されている。他国でいうところの貴族である。
 他国に貴族議会があるように、フィロソフィーでは古くから枢機卿団が国政を動かしてきた。聖王は、その政治に承認を与える存在だ。

 だが、聖王イシュタッドは違った。彼は、自ら率先して国をめぐっては政を見直して、改案を枢機卿団に叩きつけていた。
 枢機卿団も、聖王からの要請は無視できず、いくつかの時代遅れのルールが見直された。

 イシュタッドの功績で、もっとも有名なのが『一角獣保護法案』だろう。