「修道院に入れられてから、わたしは考えたの。どうしたら、わたしはこんな風にならなかったのかしらって。両親から愛されるルルーティカ王女と、魔力を失って傷あとを負ったわたしは同じ人間のはずなのに、どうして生き方を違えることになってしまったのかしらって」

 ひょっとしたら王女なんて、自分には大それた身分だったのかもしれない。
 本当は初めから、誰の目にも届かない礼拝室で、一生を終えるだけの人間だったのかもしれない。

 そうやって納得しなければ、自分を保てなかった。
 ルルは、今までの自分を否定するように、毛布に包まって巣ごもり人間へと進化していった。

「わたしは、ルルーティカ王女から、かけ離れればかけ離れるほど、楽になったの。王女でなければ、役立たずになったことも、生き延びてしまったことも、責められることはないんだもの。それに気づいたわたしは、どんどん王女らしくなくなっていったわ。でも思うの。あのとき、ちゃんと父王と母と戦っていたら、魔力がなくても傷跡があっても、『ルルーティカ王女』だって胸を張れていたんじゃないかしらって……」