「…てか、なんで死のうとしたの」

「はい…?」

「だから、なんで自殺しようとした訳」

「なんで、って」


見ず知らずの人に話したところでそんなの分かってもらえるはずがない。というかそもそも誰にも分かってもらえないと気付いたから自殺しようとしてるのに。

さっきから自殺止めようとしてくるし、偽善ならやめてほしい。

身勝手に押し付けられる親切心にいら立ちが湧いてきて、それならこの際全て吐き出してしまえばいいんじゃないかと思ってしまって。




「…今までずっとできるだけ嫌われないよう、好かれるように努力してきたけど駄目だった。

何があっても笑ったし、文句も1つだって言ったことなかった。いっぱい、いっぱい我慢してきたけど、軽蔑されて辛い目にあうばっかりだった。

…そうなったら、もうどうしたらいいか分からないの。私はこの世に向いていないんだもん、死ぬしかないじゃない!」



全部吐き出してしまうと、肩で息をする。

一気に口から飛び出した思いは、ちゃんとした言葉になってすらいない。彼も何の話をしているのかさっぱりだろうけれど、聞いたのはこの人だ、私は知るものか。

つい大声を出してしまったからか、この状況に気づいていなかった人達がこちらに目を向けてひそひそ、と話しだしていた。