チューリップやアネモネたちが可愛らしい声で話しかけてくる。この声を聴くと癒されるし、頑張るぞって思えるんだ。

「ありがとう。行ってきます」

私は花たちに笑いかけ、学校へと歩く。これが私の家の秘密。私の家では女の子にだけ不思議な力が現れる。それは花や植物と話ができたり、操ったりできるんだ。

どうしてこんな力を持って女の子は生まれるかというと、私のひいひいおばあちゃんがフランスに留学した時に、森にピクニックに出かけたら花の妖精を助けたらしい。その妖精から植物と話したり操る力をもらい、そのおかげで女の子は不思議な力を手にするようになったんだって。

小さい頃はみんな花と話せるんだと思っていたから、変な顔をよくされた。力を間違えて人前で使ってしまい、大騒ぎになったこともある。だから力は絶対に人前では使わないようにしているし、みんなにも内緒。

ただし、この力は生涯ずっと持っているわけじゃない。好きな人と結ばれ、子どもを産むとこの力は子どもに受け継がれるんだ。