「もうすぐ土砂崩れが起きます!みんな気を付けて!」

私がそう言うと、当然「何言ってるの?」という声が上がる。バスも止まらない。でも、あの木々の警告は本物だ。

「お願い、このバスを……私たちを守って!」

私は木々に願い、力を使う。私の手から虹色に輝く光があふれ出し、外へ飛び出していく。みんなの驚く声が聞こえた。

光が飛び出して数秒後、木々の枝がまるで腕のようになってバスの動きを強制的に止める。クラスメートたちは悲鳴を上げ、バスの運転手さんは「何なんだこれは!」と叫んでいた。

でもバスが止まった直後、目の前で土砂崩れが起きて道路は土や岩で覆われてしまう。私が力を使って止めなければ、私たちはあの土砂の下敷きになっていただろう。

「桃ちゃん……」

土砂を見つめる私に声がかけられる。振り向けば、桜河くんたちがどう声をかけたらいいのかわからないと言いたげな顔で私を見ている。ああ、バレちゃったな。